家じまいについて
人生の終活を考えてみませんかの三日目を迎えました。今日は、家じまいについてお話します。
最近は、テレビなどで空き家の問題を多く取り上げるようになりました。空き家になる原因の一つとして、最近結婚しない人が多くなり、そこに住んでいる人が亡くなると、相続人もいなく、遺言もなく財産の処理がされなくなり、民法では国のものになります。結婚はしても子供が生まれなかった人も同様です。
こうした方は、自分たちが生きている時点で、自分が所有する財産をお金に換えるのが、よいではないかと思います。この手法として家じまいがあります。家じまいとは自分が所有する財産をすべて処分してお金に換えること。(基本は自分が所有する屋敷)
昔から本家の跡取りといわれる人は、相続により家、屋敷、田、畑、祭祀財産等を受け継いでいます。受け継いだすべての財産を渡すべき相続人がいなかった場合、遺言書や公正証書で、引き継ぐ人を決めておかないと、所有者自身が亡くなると、財産すべてが放置されたままになってしまいます。この問題を解決するには所有者自身が対処しなければ解決できません。
対処の方法として一番わかりやすいのが、遺言書等で、次の人に引き継ぐのが良いですが、引き継ぐ人が断ったらすべての処理が、できません。
次に考えられるのは、自分で処理をすることです。最初に行うのは、祭祀財産です。お墓、仏壇等はどんなに高価なものであっても、もらってくれる人はいません。お墓は最初にお話ししたように、墓じまいをしてください。大事な先祖ですから、人に頼むのではなく自分自身で行ってください。
仏壇ですが、仏壇じまいをしたり、仏壇の買い替え、移動をする場合であっても生抜き(魂抜き)をする必要があります。生抜きをした時点で単なる箱となります。あとはどのように処理しても問題ありません。
仏壇について私が聞いたことをお話しさせていただきます。仏壇は400年使えると聞いています。仏壇は修理するとか直すとは言いません。仏壇はある程度古くなると洗いにかけるということを聞いたことがある方が多くみられると思います。仏壇を長く使っていると汚れたり、ぬってあるうるちがはがれたりします。これを40年に一回程度洗いを行います。外枠はうるちが塗ってあり、ぬり直しを行います。そのため仏壇の枠は隙間が空いています。洗いを10回程度行うと、この隙間も埋まってしまいます。40年に1回洗いを行い10回行うと440年の使用が可能となります。こうしたことから、仏壇は先祖から代々引き継いで物です。仏壇じまいをして仏壇をなくすことができますが、仏壇をもらってくれる人がいれば差し上げてください。この行為を出世といい昔から一番良い方法と言われています。
仏壇は、生抜きをした後、仏壇屋に話をすると、運んでくれます。実際には処分なんですが、引き取るというと日本の法律では、産業廃棄物になるから、運び代金として、2万から6万ぐらいの請求があります。お年寄りの方は、仏壇を購入したところでないと、運んでくれないと思っている方も見えますがどこでも運んでくれます。
住まいを壊して、屋敷を処分するのが良いか、家が建ったまま屋敷を処分するのが良いかと比較検討しますと、家を壊して更地として処分した場合、3000万円で売れるとしたら、500万円程度で更地にできます。現状で売る場合はその6割、1,800万円程度での売却になります。ですから屋敷を処分するのでしたら更地にして処分したほうが手元に残る金額が多くなります。
自分の屋敷を壊した場合は、建物登記がされているかどうかを法務局で確認してください。登記がされていた場合、滅失登記をしてください。この手続きは司法書士に依頼するか自分で行ってください。自分で行う場合は法務局に相談に行くかインターネットで調べれば、意外と簡単にできます。司法書士等に依頼すると五万円前後の費用が掛かります。これを行わないと屋敷を処分することができません。あと、抵当権等が設定されていてもい屋敷を売ることはできません。
屋敷以外で処分が難しいのが、農地(田や畑)と山林です。農地は農家以外は買うことができません。山林は誰でも買うことができますが、家を建てることはできません。
その他に、処分を必要とするのは、各種会員権、例えばゴルフの会員権、農協の組合員の権利等があります。その中でお金に換えることが可能なもの。権利を処理してもお金にならないもの、会費が出るものなどに分けて、処分をするのかそのまま放置するのかを分ける必要があります。
農地山林は、処分するのが最良の手段ですが、処理したくてもできないのはそのままにするしか方法はありません。
こうした形ですべての財産を、お金に換えるが家じまいと言えます。お金は持って移動もできますし、施設に入所するにもお金があれば選択できます。
すべての財産は死んでしまったら自分で使用することはできませんが、お金は生きている間自由に使うことができます。